しつけ教室では犬を預かりませんので、原則、どんなに悪癖の犬でもあなたにリスクはありません。  
      犬に訓練を施しても犬が良くならないのであれば、その原因は犬にあるか教え手にあるかのどちらかです。 
      預託訓練の場合には、飼い主にしてみれば、愛犬が悪いのか訓練士が悪いのかの選択になります。 
      しつけ方教室であれば、上手にできない場合は、飼い主が悪いのか、犬が悪いのかの選択になります。 
      トレーナーの指導そのものが問題であることに気がつく飼い主さんはそれほどいません。  
       
      愛犬家心理を巧みに利用しましょう。  
      失敗は、上手にできない飼い主の問題です。「上手にできるように練習してきてください。」の一言でOKです。  
      レッスン時間は、だいたい50分前後が良いでしょう。 
      実際のレッスンの進め方としては、通ほとんどの時間は「お話タイム」にしましょう。 
      「犬の集中力を考えれば、せいぜい15分が限界です。」この一言で、教室での実技はほんの少しですむのです。  
       
      レッスンの開始直後は犬たちは興奮していてかまいません。 
      むしろそのほうが、レッスン終了頃の犬の落ち着きを、レッスンの成果としてアピールできます。 
      鉄板の法則がありますから、レッスンそのものに自信が無くても大丈夫です。 
      それは、「慣れる」「飽きる」「疲れる」です。イギリスの諺にもあります「疲れた犬は、良い犬だ」と。 
       
      レッスン中に問題行動をおこしたときもほったらかしておきます。 
      「相手をすると、それがご褒美になってしまいます。無視してください。」と、気にもかけないふりを続けます。 教室の最中に無理にさせようとしている飼い主さんがいると、させられないことに気が付かれてしまいますので、「無理強いしても、犬はその一時、嫌々するだけです。」と一声かけるようにしましょう。 
      そして、「犬の知能は、人間の三歳時並みと言われています。あなたは、三歳の子供に・・・・」と言えば、 
      犬はできなくって当たり前、むしろ、させようと思っている飼い主の側に非があるように思えてきます。  
      「強情な性格ですね。こうした子には無理強いすると反抗して咬むようになったりしますので、じっくりと時間をかけて犬に理解させるように教えていきましょう。」というアドバイスも長く通って頂くために良いでしょう。 
      一回の授業料は安くても、期間を長くして回数を多くすれば収入が増えるのです。  
       
      練習においては、先程述べた「慣れる・飽きる・疲れる」これが3つのキーポイントです。  
      このどれかで犬が問題行動を止めてくれれば、「これが叱らないトレーニング法です」の一言を忘れずに。 
      あとは、「このように自宅でしっかり練習してください。」と言っておけば、犬が良くなるかならないかは、 
      全面的に飼い主さんの日常の努力次第となります。  
       
      日常生活における問題行動の相談には、「これまでに間違った対応で、かなり強化してしまっているようです。」と、さりげなく飼い主に問題の原因があると意識づけておきましょう。                         アドバイスは、とにもかくにも運動です。 
      なるべく多く散歩をさせるようにして、いたずらする元気もなくなるくらい疲れさせてしまえばいいのです。 
      「犬を飼う以上は、十分に散歩をさせてあげなければなりません。」「散歩というのは、単に運動だけではなく、日光浴や、社会性を養うなど・・・・」と、その有益性を説いて聞かせて、散歩にたくさん行かせることこそが、飼い主の愛情であり責任であるかのように洗脳してしまえば簡単です。 
       
         
      顧客満足度を高めるためのテクニック   
      ポイント : 問題点から、飼い主の意識をそむける。         
            「短所を見るのではなく、この犬の良い所を見て伸ばしてあげましょう」     
      ポイント: 問題点を、飼い主が受け入れるようにする。         
            「犬は生き物ですから、こうした行動は当たり前ですよ。」         
            「これは本能ですから、充たしてあげなければストレスになります。」  
      ポイント : あらかじめ、目標設定は低くしておく。 
            一緒に歩くことも、左の横をきちんとついて歩くように教えようと思えば、若干の技術がいります。 
            「警察犬などとは違いますから、ぴったり付く必要はありません。」 
            「お散歩は、犬には情報収集でもあるので、臭いをかいだりさせてあげないとかわいそうです。」 
             
      問題行動の解決策としては、問題行動が起きる状況を分析して、その状況を作りださないようにします。 
      本気で噛みつく犬に対しての もっとも簡単な解決方法は、犬の嫌がることは一切させないことです。 
      問題が起き無くなれば問題は解決するのです。何も犬に教えて犬を変えようなどと思う必要はありません。 
       
      飼い主には、犬の要求をきちんと叶えてあげるように教えることです。  
      欲求をみたしてあげないから、欲求不満になり、 問題行動を起こすのです。 
      飼い主が、もっと犬を散歩に連れ出してたくさん遊ばせてやるようにすれば、犬は疲れて大人しくなりますし、 
      犬の気持ちを理解した犬に優しいトレーナとして、あなたの評判も高まります。 
       
      むりに成果をあげようとしないこと。 
      問題を抱えて困っている飼い主さんにも、焦らないことをまず伝えましょう。  
      ゆっくり時間をかけることで、生徒は長く続けてくれることになります。 
      焦りは飼い主のエゴであって、犬に負担をかけてはいけません。 
       
      現実の問題をとらえた時に、何より重要なことは、成果よりもリスクの回避です。 
      犬に教えるのは飼い主なのですから、成果の有無は飼い主次第、飼い主責任です。  
      また成果の判定は飼い主の感じ方次第ですから、あなたは、飼い主の意識を犬の長所に向けさせることによって、生徒さんの感じ方を操作していけばいいのです。  
       
      このように成果の有無は大した問題になりませんが、怪我については、大きな問題になることがありますので、 
      十分な注意が必要です。 
      今、時代は動物病院過剰競争です。ほんのちょっとしたことであっても動物病院にかかりさえすれば、 
      もっともらしい病名をつけられ、診断書が出されてしまいます。 
      そのような事態を避ける最も賢明な方法は、犬を扱わないことです。  
       
      「訓練士さんが、チェーンカラーを付けて強く引っ張ったのですが、それから時々、咳き込むような嘔吐するような素振りをするのですが」と言って、全くそのような経験もなければ症状もない犬を連れて、獣医師の診察を受けたところところ、獣医大学付属病院を含む7軒中6軒が気管虚脱や頚椎損傷と診断したという話さえありました。                          
       
      顧客ターゲットとしては、初心者が狙い目です。留守中の問題行動のトレーニングは難しいものが多いので、 
      そもそも長時間、犬に留守番をさせることはいけないことだと伝えましょう。 
      それが動物愛護であり、対等な家族として迎えた飼い主としての当然の愛情であると信じさせることです。  
      うまくすれば、シッター業務もゲットできます。  
       
      伊笠間ドッグトレーナー心得  
      ○ 質問されて困った時には。「原因はストレスです。」と対応しましょう。  
        「ストレス」これほど便利な言葉はありません。 これには、誰も正面切って否定することはできません。    論理的見解は論理的に反論されますが、「嫌なものはイヤ!!」というような、                          
        いわゆるウーマンズリーズンに対しては、反論のしようがありません。 
       
      ○ 犬の訓練を極めてはいけません。 自らの主張がなければ、誰とでも仲良くできます。  
        出る杭は打たれますので、異なる意見には、当たり障りなくかわしましょう。 
        返答例としては、「ワンちゃんによってなので、どれが正しいというわけではありませんね。」と、 
        こう答えておけば、誰にでも寛大な大人の対応に見られます。 
        お客様にも、あたかも方法の引き出しをいっぱい持っているように思われます。 
        
      ○ 褒めるのはオヤツで         
        ・最も効果があり、犬が喜んでするようになります。    
        ・健康に良いトリーツの販売で収益が上がります。 
       
      ○ 叱ってはいけないことを伝えましょう。  
        罰は好ましくないことを、最初からはっきりと飼い主さんに教育しましょう。   
        ・叱るには技術が必要です   
        < 決め台詞 > 「 科学的に効果のないことが実証されています」「 弊害や副作用があります」 
             「信頼関係を壊します」  
       
      ○ 犬を扱ってはいけません     
        ・技術が歴然とします  
        < 決め台詞 >  「トレーナーのいうことをきいても意味がありませんから 」 
             「弁別刺激によりトレーナーがいる時といない時で、 犬が行動を変えるようになります」      
       
      ○ 強制してはいけません  
         ・犬にさせるのではなく、犬がするように、と教えます。  
           「させる」ですと、失敗は、「させられなかった」になりますが、 
           「するように」ですと、失敗は、「しなかった」になります。 
            「人がさせる」のですと、できなかった場合は、させられなかった人の問題になりますが、 
           「犬がするように」ですと、できなかった場合は、しなかった犬の問題となります。  
        ・ キーワードは「自主的に」「すすんで」 
        ・ NGワードは「強制的に」「無理やり」です。 
        < 決め台詞 > 「嫌がることを無理強いするのではなく」「犬が好きなことを喜んでするように」 
       
      ○ 個性の尊重 
         「犬にはそれぞれ個性がありますから、まずはその子の性格を知りましょう。」 
        ・ 個性を認めることにより、成果の基準をうやむやにすることができます。  
        ・ 足並みのそろわない犬の飼い主さんには、別料金の個人レッスンを勧めましょう。  
       
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