おもちゃ売り場の前で、這いつくばって泣き叫ぶ子供。レストランの中で、走り回って遊ぶ子供。 
      電車やバスの中で、大声を出して、はしゃぎまわる子供たち。 
      「あんなに欲しがっているのだから買ってあげればよいのに。」 「大きくなれば自然にしなくなるのだから。」 
      「それもその子の個性だから。」 「元気があって、子供らしくて良い。」「子供だから仕方がない。」 
      こうした意見も多く、それはあたかも「寛大さ」や、「理解のある優しさ」のように思われたりさえもします。  
       
      犬においても同じです。人に吠えかかるのも個性、抱っこを嫌がるのも個性、と聞かされるに及んでは、  
      じゃあ何をしつけする必要があるのかと尋ねたくなります。 たしかに叱ることはかわいそうなことでもあります。自分の犬が吠えまくろうが、跳びつこうが、だれかれかまわず噛み付こうとも、世の中の人全員が、犬のすることだから、と笑って許してくれるのであれば、かつ、それでもなお、犬を大切にしてくれるのであれば、私だって 
      犬を叱ることなど無いのかもしれません。 
       
      怖くていうことをきく、そんなにいけないことですか? もちろんそれがいいなどとは思っていません。  
      しかし、ある時期や、ある段階においては、それらが必要な場合もあると考えます。  
      私が子供の頃、親と先生そしておまわりさんは、怖い存在でした。でも大好きでしたし、憧れもありました。  
      私にすれば、「怖いものなし」に育てることの方が、よほど怖いです。  
      最近では、無法に調子に乗る若者も増えてきました。成人式が荒れるようになったのも、さかのぼれば、 
      人前で叱ることはいけないこととされた頃の子供が、成人になった頃からのように思えます。 
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