家庭のルール                     部屋の方々で粗相をしたり、家具を齧ったりする事も、家人がそれで良いのならば、なんら問題ありません。                      人の膝に乗る事、人に前足を掛ける事、人の顔を舐める事、ソファーの上に乗る事、台所や、和室、寝室に入る事などを、よしとするか否かは人それぞれでしょうから、家族の気持ち一つで決めていい事柄です。                            ただし子犬にそれらの行動を許す結果として、将来起こりえる問題行動に関して、飼い主はその責を負うことは申し添えておきます。 
                           多くの方が、犬に何も教えないうちに犬に自由を与える事で、様々な好ましくない習慣を覚えさせてしまいます。 その結果、その悪癖を直すために必要以上に犬を叱ったり、あげくに、犬を厄介者扱いしたりするのです。                     最初に犬を自由にさせておいて、意地の悪い言い方をすれば、最初に犬に、家の中を探索して色々な玩具                      (柱やテーブル、ごみ箱など)で遊ぶ面白さを、散々に味あわせておいてから、次第に手を焼きだして、  あれ駄目、これ駄目、それも駄目といった具合に、段々に犬の自由を奪って行く人が多いのです。  これでは、犬が欲求不満にならないほうが不思議です。  
                           義務と権利について講釈するつもりはありませんが、少しずつル−ルを教えて、ある程度、犬がそれを理解し、                     守れるようになったら、それに見合うだけの自由を与え、次にその自由の範囲でル−ルを守れるようなら、さらに自由を広げてあげるという事の方が本当の信頼関係が築けるのではないでしょうか。                                                私は、この時期から、クレートトレーニングとトイレトレーニングを、平行して行ない始めます。                     子犬は、普段は常に、クレートに入れておきます。 
       そして最もトイレをしそうもない時間帯 (必ず、トイレで、オシッコとウンチをした直後)を選んで、かつ、 あなたが、犬にかかりっきりになれる 時間に限って、クレートから出し、約10分間、子犬を横たわらせます。  その後、子犬に2メ−トル程度の長さの軽い紐を付けて、部屋の中で、一人勝手に自由にさせます。  この時の注意点として、3秒以上犬から目を離さない事と、3ナイ【見つめない・声を掛けない・触らない】を 守って下さい。つまり、犬の遊び相手はしないで、本かテレビを見ているふりをしながら、しかし、常に子犬の 動静に気を配ります。もし好ましくない行為をしようとしたら、天罰を与えて、不都合な犬の行動を制止します。                      例えていうならば、「刑事が、犯人を泳がせておく。」といった感じです。  
       このように、初めのうちは、「手をかけられる・目をかけられる・気にかけられる」間に限って行ない、  こうして或程度のル−ルを犬が覚えてきたら、次第に、「目をかけられる・気にかけられる」時にも出してあげ、それでも問題を起こさないようであったなら、次は「気にかけられる」だけの時にも出してあげてといった                           具合に順次、段階を踏みながら、部屋の中での自由を増やしていくのです。  
       お気づきかもしれませんが、まだ、子犬をクレートから出してはあげても、全く犬と遊んでいません。  この、クレートから出しても、すぐには遊ばない習慣付けは、室内で落ち着きのある犬に育てる上のみならず、 クレートトレーニングで犬にストレスを与えないためにも大変に重要です。  
                           最低10分間以上、室内に犬を放して、3ナイ【見つめない・声を掛けない・触らない】を行なった後に、                     初めて子犬と遊んであげるようにしましょう。 ここで、普段の遊び方の注意を述べておきましょう。  まず特別の目的がない限り、犬が極端に興奮する遊び方はしないことです。                      遊んでいるうちに、犬の興奮が高まってきたなら、急に人間が動きを止め、声もかけずに、犬も見ないで、  つまり、一切の相手をせずに犬が落ち着くのを待ちます。  へたに、「ヤメ」と声をかけたり、跳び付いてきた犬を払い除けたり、よけたりするのは逆効果です。  
                           遊ぶ時間は、せいぜい10~15分間程度に留めて、また、クレ−トに子犬を戻して休ませましょう。  この頃は、運動は、取り立てて考えることもなく、飼い主との遊びの中での自由運動が何よりです。                      遊びは、部屋や広場での、鬼ごっこや、かくれんぼが最も良いでしょう。 ただし、決して人間が鬼役になってはいけません。また犬があきらめて、一人遊びを始めてしまったりする事の                     ないように犬の気をひきながら、ほどほどのところですぐに捕まってあげて、十分にほめてあげるようにします。  
       また、持来欲(投げた物を取りに行く本能)のある子犬でしたなら、ボール遊びなども、好ましいのですが、                     取りに行くことより、持って来ることのほうが重要です。                     遠くに投げることよりも、近くで、犬がくわえたなら、すぐに、二三歩離れるふりをして犬を誘い込み、 すぐに取り上げないで、軽く揺さぶりながら引っ張りっこを してから取りだし、すぐにまた犬の口元近くに放ってあげるといったように、持ってきた後の遊びに主体を                          おいて行ってください。 
                           玩具は、飼い主と遊ぶ際のものとし、一人遊びをさせない方が良いでしょう。                      最終的に、その犬を室内で飼うか、表で飼うかを迷われる方も多いかと思います。                      私は、なるべく、いや、家庭の事情が許す限りは、 室内でお飼いになることをお勧めします。                      人間でも同じですが、肉体的ストレス、いわゆる運動不足による弊害は、精神的ストレスによる弊害に比べれば、さほどの問題ではありません。室外飼育ですと、どうしても、散歩の時、食事の時といった限られた時間しか、 
      相手をしてあげられなくなり、精神的な面からも、多くの問題を生むことになります。 
       
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